一般社団法人全国がん患者団体連合会では2018年6月21日付で、「衆議院厚生労働委員会における参考人に対する議員の発言に関する声明」を公開いたします。

衆議院厚生労働委員会における参考人に対する議員の発言に関する声明

さる6月15日の衆議院厚生労働委員会において、受動喫煙防止対策を進めるための健康増進法改正案に関して、参考人からの意見陳述と質疑が行われ、当団体理事長の天野慎介、並びに、当団体の加盟団体でもある長谷川一男氏(日本肺がん患者連絡会理事長・肺がん患者会ワンステップ)を含むがん患者や医師など5名が参考人として出席をしました。

この厚生労働委員会での質疑において、委員会の議員から「いい加減にしろ」などの発言が参考人に対してあり、本日報道されました。また、報道を受けて、発言された議員からもコメントがホームページに掲載をされています。議員の発言の内容は、参考人として国会から招かれ、体調が必ずしも良くない中をおして出席し、がん患者や家族の声を国政の場へ届けようとした肺がん患者である参考人の心情を無視したものであり、議員の発言は参考人のみならず、がん患者の尊厳を否定するものとなりかねません。

議員のコメントでは、「喫煙者を必要以上に差別すべきではないという想いで呟いた」とあります。しかし、参考人の発言からも明らかではありますが、参考人は喫煙者の思いにも理解を示しつつ、肺がん患者の立場から受動喫煙対策の推進を求めたものです。受動喫煙対策はマナーの問題に止まらず、国民の命や健康に関わる重要な問題です。受動喫煙を原因として年間15,000人の尊い命が失われていると推計されていること、並びに国のがん対策推進基本計画で「望まない受動喫煙を無くす」とされていることを踏まえ、今も受動喫煙に苦しむ患者やこれから苦しむかもしれない国民、そして、既に失われた命のためにも、「健康増進法改正案」の内容にかかわる真摯な議論が国会で行われることを、改めて要望いたします。

2018年6月21日
一般社団法人全国がん患者団体連合会