2015年6月16日に超党派議連「国会がん患者と家族の会」(代表世話人:尾辻秀久参議院議員、事務局長:古川元久衆議院議員)総会が、衆議院第2議員会館で下記次第にて開催されましたので、ご報告いたします。

尾辻秀久先生によるご挨拶

▲尾辻秀久先生によるご挨拶

6月16日の議連ではがん対策基本法の改正などについて話し合われ、一般社団法人全国がん患者団体連合会からは天野慎介理事長(一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパン理事長)が参考人としてお話する機会をいただきました。

がん対策基本法の改正に関する要望書(一般社団法人全国がん患者団体連合会)

icon_pdf_01がん対策基本法の改正に関する要望書(一般社団法人全国がん患者団体連合会)(PDFファイル)

6月16日の議連で、全国がん患者団体連合会の加盟24団体連名による「がん対策基本法の改正に関する要望書」を同議連宛に提出するとともに、6月17日には同要望書を、塩崎恭久・厚生労働大臣、正林督章・厚生労働省健康局がん対策健康増進課長、門田守人・厚生労働省がん対策推進協議会会長にも提出いたしました。要望書の提出にご理解とご支援をいただいた皆様に、この場をお借りして御礼申し上げます。

【総会次第】

  • ヒアリング
    山本ゆき氏(故山本孝史・前参議院議員夫人)
    天野慎介氏(一般社団法人グループ・ネクサス・ジャパン理事長)
    正林督彰氏(厚生労働省健康局がん対策・健康増進課長)
  • 意見交換
  • その他

【がん対策基本法の改正に関する要望書】

平成27年6月16日

国会がん患者と家族の会
並びに国会議員の皆様

一般社団法人全国がん患者団体連合会
理事長 天野 慎介

がん対策基本法の改正に関する要望書

がん対策基本法の改正に関して、全国がん患者団体連合会の加盟団体からの意見を取りまとめ、以下の要望を提出いたします。

(従来のがん対策基本法におけるがん対策の推進に関して)

1.「救える命を救う」「避けられるがんを防ぐ」ための対策が不足しています
第2条「居住する地域にかかわらず等しく科学的知見に基づく適切ながんに係る医療を受けることができるようにすること」とありますが、がん診療連携拠点病院での標準治療実施率等に主要ながんでも未だ格差があり、喫煙対策などの予防やがん検診も不十分です。

2.緩和ケアと在宅医療の推進が不足しています
第16条「疼痛等の緩和を目的とする医療が早期から適切に行われるようにすること、居宅においてがん患者に対しがん医療を提供するための連携協力体制を確保」とありますが、患者と家族の苦痛は未だ十分に軽減されず、介護保険や障害年金との連携も不十分です。

3.がん対策を総合的に推進するための制度が不足しています
第19条でがん対策推進協議会の設置が定められていますが、がん対策推進基本計画の策定で「意見を聴く」(第9条)とあるのみであり、がん対策全般への患者参画、患者や家族、地域の実情と声を継続的に調査する仕組みがなく、患者や患者団体の責務も不十分です。

(今後のがん対策基本法におけるがん対策の推進に関して)

1.小児がん・希少がん・難治がんの対策が新たに必要です
若年がんを含む小児がん、希少がん、難治がん対策の充実は基本法になく、小児・若年がん経験者の長期支援体制、治療成績向上のための集約化とがん登録の利活用、未承認薬の早期承認の促進やがん基金の創設による研究や臨床試験の推進などの制度が必要です。

2.がん患者の就労を含めた社会的な問題への支援が新たに必要です
都道府県がん条例で事業者の責務に「従業員とその家族が安心して治療できる環境の整備」とありますが法的根拠に乏しく、患者の働き方に応じた就業希望や雇用能力開発の支援と合理的配慮など、患者と家族の自立に向けた包括的支援を進める必要があります。

3.がん患者と家族の権利と尊厳を守るための対策が新たに必要です
がん対策推進基本計画で「がんになっても安心して暮らせる社会の構築」とありますが法的根拠に乏しく、偏見を除くための啓発やがん教育、患者や家族の疾病や遺伝子情報に係る差別の禁止、患者の意思決定やセカンドオピニオンの権利を保障する必要があります。

以上

がん対策基本法の改正に関する要望書
賛同団体一覧(一般社団法人全国がん患者団体連合会加盟団体)(団体名50音順)

  • 特定非営利活動法人 AWAがん対策募金 (理事長 勢井啓介)
  • 一般社団法人 CSRプロジェクト (代表理事 桜井なおみ)
  • 特定非営利活動法人 HOPEプロジェクト (理事長 桜井なおみ)
  • 特定非営利活動法人 愛媛がんサポートおれんじの会 (理事長 松本陽子)
  • 特定非営利活動法人 がんサポートかごしま (理事長 三好綾)
  • がん体験者の会とま~れ (代表 佐々木佐久子)
  • 特定非営利活動法人 がんと共に生きる会 (理事長 佐藤愛子)
  • 特定非営利活動法人 がんフォーラム山梨 (理事長 若尾直子)
  • がんを考える「ひいらぎの会」 (代表世話人 鈴木牧子)
  • 特定非営利活動法人 希望の会 (理事長 轟哲也)
  • 特定非営利活動法人 キャンサーサポート (代表理事 宮部治恵)
  • 一般社団法人 グループ・ネクサス・ジャパン (理事長 天野慎介)
  • 一般社団法人 高知がん患者支援推進協議会 (理事長 安岡佑莉子)
  • 特定非営利活動法人 支えあう会「α」 (理事長 五十嵐昭子)
  • 特定非営利活動法人 周南いのちを考える会 (代表 前川育)
  • 精巣腫瘍患者友の会J-TAG (共同代表 改發 厚・古谷 浩)
  • 奈良がんピアサポートなぎの会 (会長 松浦博子)
  • 奈良県のホスピスとがん医療をすすめる会 (会長 浦嶋偉晃)
  • 特定非営利活動法人 乳がん患者友の会きらら (理事長 中川けい)
  • 特定非営利活動法人 ねむの樹 (理事長 金井弘子)
  • 特定非営利活動法人 パンキャンジャパン (理事長 眞島喜幸)
  • 特定非営利活動法人 ブーゲンビリア (理事長 内田絵子)
  • 特定非営利活動法人 ミーネット (理事長 花井美紀)
  • ゆうかぎの会(離島におけるがん患者支援を考える会) (会長 真栄里隆代)

(2015年6月16日現在)