一般社団法人全国がん患者団体連合会(全がん連)では、「高額療養費制度における負担上限額引き上げの検討に関する要望書」を2024年12月24日付で厚生労働大臣、厚生労働副大臣、厚生労働副大臣政務官、厚生労働省保険局長、社会保障審議会医療保険部会長宛に送付・提出しましたので、ご報告いたします。

>>高額療養費制度における負担上限額引き上げの検討に関する要望書(PDF)

2024年12月24日

厚生労働大臣         福岡 資麿  様
厚生労働副大臣        鰐淵 洋子  様
厚生労働副大臣        仁木 博文  様
厚生労働大臣政務官      安藤 たかお 様
厚生労働大臣政務官      吉田 真次  様
厚生労働省保険局長      鹿沼 均   様
社会保障審議会医療保険部会長 田邊 國昭  様

一般社団法人全国がん患者団体連合会(全がん連)
理事長 天野 慎介

高額療養費制度における負担上限額引き上げの検討に関する要望書

高額療養費制度は、家計に対する医療費の自己負担が過重なものとならないよう、医療機関の窓口において医療費の自己負担を支払った後に、月ごとの自己負担上限額を超える部分について事後的に保険者から償還払いされる制度であり、がんをはじめとする命に関わる疾患で治療を受け、かつ高額な医療費を支払う患者とその家族にとっては、治療を受けるうえでまさに命綱といえる大切な制度です。

現在、厚生労働省の社会保障審議会医療保険部会において、国民皆保険の維持あるいは保険料軽減などの観点から、高額療養費制度における負担上限額引き上げの検討が行われており、厚生労働省からも引き上げ額や引き上げ時期についての提案が行われています。一方で、高額療養費制度における負担上限額引き上げは、がんをはじめとする命に関わる疾患で治療を受け、かつ高額な医療費を支払う全ての患者とその家族に影響を与えるものです。新たな治療や治療薬の登場によるがん治療の高度化に伴い、高額療養費制度の負担上限額まで支払っている患者とその家族が既に多くおり、特に「長期にわたって継続して治療を受けている患者とその家族」にとっては、大きな影響を与えるものとなります。

現在のがん治療においては、長期にわたって継続して治療を受けることを前提とした治療や治療薬が増えており、これらの治療を受けているあるいは治療薬を投与されている患者とその家族は毎月、一定の医療費を支払い続けています。70歳未満の現役世代の中には、仕事や日常生活を続けながらぎりぎりの範囲で医療費を毎月支払い続けている患者とその家族もおり、高額療養費制度における負担上限額引き上げは、高額療養費制度の負担上限額まで支払っている患者とその家族、特に「長期にわたって継続して治療を受けている患者とその家族」にとっては生活が成り立たなくなる、あるいは治療の継続を断念しなければならなくなる患者とその家族が生じる可能性が危惧されます。以上の状況を鑑み、高額療養費制度における負担上限額引き上げの検討に関して以下の要望を提出いたします。

◯高額療養費制度における負担上限額引き上げは、がんをはじめとする命に関わる疾患で治療を受け、かつ高額な医療費を支払う全ての患者とその家族に影響を与えるものであることから、負担上限額引き上げの軽減および影響を緩和する方策について検討すること。

◯特に、「長期にわたって継続して治療を受けている患者とその家族」にとっては、高額療養費制度における負担上限額引き上げは生活が成り立たなくなる、あるいは治療の継続を断念しなければならなくなる患者や家族が生じる可能性が危惧されることから、「長期にわたって継続して治療を受けている患者とその世帯」の月単位の上限額(「多数回該当」の月単位の負担上限額など)の引き上げについては、負担上限額引き上げの軽減および影響を緩和する方策について特段の配慮を行うこと。

以上