一般社団法人全国がん患者団体連合会では平成30年1月23日付で、「診療報酬不正請求に関する患者対応への要望書」を、医療法人ブレストピア・ブレストピア宮崎病院などに送付いたしましたので、ここにご報告いたします。

診療報酬不正請求に関する患者対応への要望書

icon_pdf_03「診療報酬不正請求に関する患者対応への要望書」(PDF)

平成30年1月23日

医療法人ブレストピア
ブレストピア宮崎病院

一般社団法人全国がん患者団体連合会

診療報酬不正請求に関する患者対応への要望書

貴院のホームページにて、平成30年1月11日付で「医療法人ブレストピアにおいて、診療報酬の不正請求が行われていたことが発覚しました」とのお知らせが掲載され、1月15日付で「平成29年9月と11月、九州厚生局宮崎事務所より個別指導が行われ、不適切な診療報酬請求があることが疑われました。平成29年12月、九州厚生局による監査が実施され、継続中です。現在、院内におきましても不適切な診療報酬請求に関し、その全容の解明に向けて調査を行っております」と掲載されています。平成30年1月17日の宮崎日日新聞では、「一部の乳がん手術の際、実際に行っていない診断の診療報酬を請求していたとされ、不正件数は約3,600人分に上るとみている」と報道され、その不正請求の内容が「病理検査」に関する事項であると報道されています。

病理検査は乳がん患者の手術後の治療計画を考えるうえで重要な情報であり、病理検査が実施されていたかが不明な状態は、対象患者のみならず、これまで貴院を受診した患者にも大きな不安を与えています。一般社団法人全国がん患者団体連合会は、本件に関して、対象となる患者数が約3,600人と多く、かつ、未だその患者救済に向けた具体的な情報提供や方策が提示されていないことを鑑み、患者擁護の観点から本要望書を提出します。

1.関係者の記者会見などによる、今後の対応を含めた事実報告の実施

本件について貴院ホームページには複数の「お知らせ」が公開されていますが、関係者による詳細な状況説明がなされないまま現在に至っております。「監査が終了するまでは、取材対応ならびに情報提供を行わない方針」と1月19日付でお知らせが掲載されていますが、憶測などによる混乱、不安を招くことのないよう、関係者による記者会見などを開催し、速やかに社会的説明責任を果たすことを要望します。

また、現在、患者相談窓口などを設置して頂いていますが、これらの対応は、貴院のホームページにたどり着かない限り知り得ることができません。対象となる全ての患者に対して適切なケアと情報が行き届くよう、貴院から全ての対象患者・家族に連絡を行うことを要望します。

2.病理検査の再実施と治療に対する検証、対象者ひとりひとりへの結果説明の実施

今回の報道などを受け、自らが受けた治療が適切なものであったのか、患者は大きな不安を抱いています。監査対象となっている検体の病理検査を全て再実施するとともに、行われた治療内容と照合し、その結果について一人ひとりに誠意をもって説明することを要望します。

また、病理診断を含め、過剰に請求した治療費への返還を行うとともに、上記照合により不適切な治療が行われた場合には、誠意ある対応を講じることを要望します。

3.安心して治療が受けられる環境の継続、フォローアップへの支援

貴院にて治療などを受けている患者が、これ以上の不安を感じることのないよう、しっかりとしたケアと信頼できる診療体制の整備を行うことを要望します。

また、患者が転院を希望する場合には、検体、カルテ情報の提供、紹介状の発行など、今後の治療、フォローアップに必要な診療情報を速やかに患者に提供するなど、今後も患者が安心して治療できる環境を用意、連携することを要望します。