一般社団法人全国がん患者団体連合会では平成29年12月6日付で、「外来患者支援体制(就労支援を含む)への強化に関する要望書」を、厚生労働大臣、中央社会保険医療協議会会長などに送付・提出いたしましたので、ここにご報告いたします。

外来患者支援体制(就労支援を含む)への強化に関する要望書

icon_pdf_03外来患者支援体制(就労支援を含む)への強化に関する要望書(PDF)(全国がん患者団体連合会)

平成29年12月6日

厚生労働大臣 加藤 勝信 様
中央社会保険医療協議会会長 田辺 国昭 様

一般社団法人 全国がん患者団体連合会
理事長 天野 慎介

「外来患者支援体制(就労支援を含む)」への強化に関する要望書

平成29年10月24日に閣議決定された国の第3期「がん対策推進基本計画」では、「がん治療を外来で受ける患者の増加による受療環境の変化によって、状況に応じた最適なチームを育成することや、発症から診断、入院治療、外来通院等のそれぞれのフェーズにおいて、個々の患者の状況に応じたチーム医療を提供することが求められている」としたうえで、「国は、がん患者が入院しているときや、外来通院しながら在宅で療養生活を送っているときなど、それぞれの状況において必要なサポートを受けられるようなチーム医療の体制を強化する」「国は、患者の病態に応じた適切な薬物療法を提供するため、専門的な医師や薬剤師や看護師、がん相談支援センターの相談員等の人材育成、適正配置に努める。また、それらの専門職等が連携し、患者に適切な説明を行うための体制整備に努める」とされています。

このうち、がん患者の患者支援機能への診療報酬での評価については、現状では「患者サポート体制充実加算」や「退院支援加算」などがありますが、それぞれ入院時や退院時への算定に限って認められている状況にあることから、「がん治療を外来で受ける患者」「外来通院しながら在宅で療養生活を送っている」がん患者への患者支援は、未だ十分な体制にありません。

また、がん医療の進歩により、我が国の全がんの5年相対生存率は、56.9%(平成12年~平成14年)から62.1%(平成18年~平成20年)と年々上昇しており、がんになっても自分らしく活き活きと働き、安心して暮らせる社会の構築に向けて、がん患者の離職防止や再就職のための就労支援を充実させていくことも強く求められています。地域がん登録全国推計による年齢別がん罹患者数データによれば、平成14年において20歳から64歳までのがんの罹患者数は、約19万人でしたが、平成24年には約26万人に増加しており、就労可能年齢でがんに罹患している者の数は、今後ますます増加していくことが見込まれています。

こうした背景を踏まえ、平成29年3月の「働き方改革実現会議」において決定された「働き方改革実行計画」では、「病気の治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕組みを整えること、病を患った方々が、生きがいを感じながら働ける社会を目指す」ことが打ち出されていることに加え、第3期がん対策推進基本計画では、「トライアングル型サポートを行うためには、拠点病院等で相談支援に携わる者や両立支援コーディネーターが、がん患者の治療の状況のみならず、必要に応じて、がん患者一人ひとりの社会的な背景や生活の状況等を把握することが重要である」と明記されています。以上の状況を踏まえて、以下の要望を提出いたします。

  • がん治療を外来で受ける患者の増加に対応して、がん治療を入院して受ける患者への患者支援体制だけではなく、外来で受ける患者への患者支援体制の強化に資する診療報酬での評価を行うこと。
  • 看護師や医療ソーシャルワーカーなどのメディカルスタッフが、がん治療を外来で受ける患者に対して、就労支援を含む社会生活支援を行うための体制の強化に資する診療報酬での評価を行うこと。

以上