一般社団法人全国がん患者団体連合会では、12月28日付で堀内詔子・ワクチン接種推進担当大臣と後藤茂之・厚生労働大臣に「新型コロナワクチン接種に関する要望書」を提出し、内閣府で堀内大臣に手渡しましたので、ご報告いたします。

>「新型コロナワクチン接種に関する要望書」(PDF)

2021年12月28日

ワクチン接種推進担当大臣 堀内 詔子 様
厚生労働大臣 後藤 茂之 様

一般社団法人全国がん患者団体連合会
理事長 天野 慎介

新型コロナワクチン接種に関する要望書

新型コロナワクチンの追加接種(3回目接種)に関しては、「2回目接種を完了した日から、原則8か月以上経過している方」「18歳以上の方」「日本国内での初回接種(1回目・2回目接種)又は初回接種に相当する接種が完了している方」を全て満たす方を対象として、2021年12月1日から開始されました。ただし、感染防止に万全を期するという観点から、医療従事者等や重症化リスクの高い高齢者施設入所者等は、接種間隔を6か月に短縮するとともに、その他の高齢者は、令和4年2月以降、接種間隔を7か月に短縮することが、政府の方針として示されています。

一方で、新型コロナワクチンの初回接種(1回目・2回目)に関しては、重症化リスクの大きさや医療提供体制の確保等を踏まえ、「(1)医療従事者等」「(2)高齢者 (令和3年度(2021年度)中に65歳に達する、昭和32年4月1日以前に生まれた方)」「(3)基礎疾患を有する者、高齢者施設等の従事者」という形で順次接種できるようにすることが、政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会での議論を経て決定されていました。すなわち、初回接種(1回目・2回目)では優先接種の対象とされていた「基礎疾患を有する者」が、追加接種(3回目接種)では優先接種の対象から除外されています。

がん患者に関しては、新型コロナウイルス感染症にかかりやすいこと、新型コロナウイルス感染症の重症化のリスクが比較的高いとされており、特に高齢であること、男性であること、1年以内に診断されたがんであること、肺がんや血液腫瘍などはリスクが高いとされています。伝播力の強いオミクロン株は、倍加時間が速いことが特徴である一方、国内の感染者の重症化への影響については明らかになっていない状況にあり、基礎疾患を有する方にとっては重症化の脅威に晒される可能性もあります。厚生労働省ホームページでも「基礎疾患を有する方などの重症化リスクが高い方」は「特に追加接種(3回目接種)をお勧めする方」と記載されているにもかかわらず、現時点では「基礎疾患を有する者」はその他の方々と同等の優先順位とされています。

また、初回接種(1回目・2回目)では「基礎疾患を有する者」のうち、がん患者に関する定義が「免疫の機能が低下する病気(治療や緩和ケアを受けている悪性腫瘍を含む。)のみとされており、定義があいまいであることから、欧州ではESMO(欧州臨床腫瘍学会)ガイドラインにおいて優先接種の対象とされているようながん患者が、国内では優先接種を受けられなかった事例がありました。さらに、初回接種(1回目・2回目)では自治体が発送する「接種券」を持参することが接種の条件とされたために、自治体間の接種時期の格差が大きくなってしまった事例や、自治体によっては年齢順に接種券が発送され、若年の「基礎疾患を有する者」が最後の接種順位となった事例がありました。基礎疾患を有する方が新型コロナワクチン接種を希望する場合に、その重症化リスクに応じた接種の機会が確保されるよう、追加接種(3回目接種)において以下の要望をいたします。



◯初回接種(1回目・2回目)と同様に、追加接種(3回目接種)においても「基礎疾患を有する者」を優先接種の対象とし、「基礎疾患を有する者」の接種間隔を短縮すること。
◯「基礎疾患を有する者」のうちがん患者に関する定義について、海外の学術団体におけるガイドライン等を参考にして、より明確に定めること。
◯「基礎疾患を有する者」の追加接種(3回目接種)に関しては、自治体が発送する接種券が無くても接種を受けられる体制について検討すること。

以上