一般社団法人全国がん患者団体連合会では令和2年3月27日に「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いにおける『慢性疾患等』の取り扱いに関する周知の要望について」を厚生労働省に送付いたしましたので、ここにご報告いたします。

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icon_pdf_03要望書「新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いにおける『慢性疾患等』の取り扱いに関する周知の要望について」(PDF)

令和2年3月26日

厚生労働省保険局医療課長 森光敬子様
厚生労働省医政局医事課長 佐々木健様
厚生労働省医薬・生活衛生局総務課長 鳥井陽一様

新型コロナウイルス感染症に係る診療報酬上の臨時的な取扱いにおける「慢性疾患等」の取り扱いに関する周知の要望

(一社)全国がん患者団体連合会
理事長:天野慎介

新型コロナウイルス感染症については現在、都市部を中心に感染者数の増加傾向がみられ、不要不急の外出を控えるよう求める措置などがとられています。厚生労働省におかれましては、感染の拡がりに対して様々な臨時的施策を実施いただいており、その効果が期待されるところですが、今後の状況によっては、いわゆるオーバーシュート(感染爆発)が発生する可能性が危惧されており、医療機関への患者の集中やいわゆるロックダウン(都市封鎖)などが生じる可能性もあることから、その対応にも備える必要があると考えられます。

新型コロナウイルスの感染による重症化のリスクがある者として「がん患者」も含まれていますが、例えば、ホルモン感受性陽性の乳がん患者や前立腺がん患者、甲状腺がん患者に対する内分泌療法、慢性骨髄性白血病患者や消化管間質腫瘍患者に対するイマチニブなど、患者の中には比較的安定した状態で経口の薬物療法を継続している者がおります。当該患者においては、医師の適切な判断を前提として、感染の拡大防止の観点から、電話や情報通信機器を用いた診療による薬剤処方も必要となっており、厚生労働省からも、令和2年2月28日の事務連絡(別紙1/別添1参照)「慢性疾患等を有する定期受診患者等が継続的な医療・投薬を必要とする場合に、電話や情報通信機器を用いた診療によりファクシミリ等による処方箋情報の送付等」において、「医師が電話や情報通信機器を用いて診療し医薬品の処方を行い、ファクシミリ等で処方箋情報が送付される場合、保険医療機関は、電話等再診料、処方箋料を算定できる」とされています。

しかしながら、表記の「慢性疾患等」の取り扱いが、「糖尿病や高血圧などの慢性疾患のみとする」など、自治体や医療機関などによって、その取り扱いが異なっているという課題が生じております。これらの薬剤は、患者の生命、生活の質を支え、改善するために大切な治療薬です。「感染の拡大防止」と医療機関の負担軽減という本事務連絡の主旨が周知され、地域間や医療機関によってその取り扱いに差異が生じることを防ぎ、不利益などが生じることのないよう、以下の事項の周知徹底について要望させていただきます。

・「慢性疾患等」の定義に「がん」が含まれていることを各自治体に対して周知をし、医師の適切な判断を前提として、情報通信機器を用いた診療、処方情報の送付が適切に行われ、地域間や医療機関によってその取り扱いに差異が生じることが無いように、要望します。

以上